護摩祈祷とは、弘法大師により伝えられた真言密教秘伝の修法の一つで、お不動様の前で、煩悩の象徴である護摩木を様々な供養物と共に炊き上げて、厄や災いを払い願望を清め、大願成就を願います。
修禅寺は曹洞宗なのにどうして真言密教?と不思議に思われるかも知れませんが、全国的にも珍しくこの修禅寺奥の院だけではないかということです。
これは修禅寺が大同2年弘法大師による草創から約470年間は真言宗、その後蘭渓道隆禅師が来られてから約230年間は臨済宗、そして隆渓繁紹禅師以来、現在まで曹洞宗と、長い歴史の中で宗派が変わってきているためでもあります。
この奥の院の地は、弘法大師が修行のために訪れた際に、魔物が多く修行の妨げになり、苅籠の窟(かりごめのいわや)に法力で封じ込めたという伝説が残っております。
昭和5年に発行された『修禅寺夜話』によると、護摩を焚き妖魔を封じたのは真言宗第五祖の善無畏三蔵であったと、次のような伝説が記載されています。
著者は当時の修禅寺の僧侶、深谷博道師。
『……錫を飛ばしておいでになり、庵を結んで、護摩を炊いて一切の悪魔を降伏なさいました。
此の時焼いた護摩を、修禅寺護摩といって、日本で焼いたはじめださうで御座います。
修禅寺護摩は、一番簡易で、路傍でも、どこでも出来るのださうで御座います。
六尺位の生木の股のあるのを二本作って、之を地に、三四尺の間隔をおいて立て、股から股へ生木を一本渡して、之に鍋をつるして、そして護摩を焼くのださうで御座います。……』
どちらの説も、古のことであり、果たして妖魔を封じたのは弘法大師であったのか、善無畏三蔵であったのか確かめる術はありませんが、
修禅寺護摩のルーツは屋外で焚かれた事は共通して伝えられています。
修禅寺開創1200年にあたる平成19年、秋の弘法大師大祭では、本堂前の境内中央に設けられた護摩檀で、屋外での護摩炊きが火祭りのごとく、迫力をもって再現されました。
修禅寺奥の院では、毎年冬至の星祭りの他に年に何度か護摩祈祷を行っております。
右の写真の護摩木は、組合加盟の宿泊施設および旅館組合にて販売しておりますので、開催日に参加できないお客様も、事前にご記入頂けます。
ご記入いただいた護摩木は、大切に保管し、護摩祈祷の際にお焚き上げいたします。